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雑な議論をしてしまった、5月4日の記事の補習です。

問題
x軸を底辺として、y軸に頂点を持つ正三角形を、拡大縮小、また平行移動したときに、三頂点が同時に有理点にならないことを示せ。


(1)
この正三角形の斜辺の傾きは、tan(π/3)で√3です。

(2)
正三角形の斜辺は、三角形を拡大縮小しても、平行移動しても、傾きが変わりません。

(3)
傾きが無理数の直線は、最高でひとつしか有理点を持てません。底辺の頂点が有理点であれば、上の頂点は有理点になりません。逆に、上の頂点が有理点であれば、底辺の頂点は有理点ではありません。
長かったです。いろいろなことを考えました。結論です。

まず、任意の有理点Pを通る、傾きが有理数の直線Lを考えます。この直線上には無数の有理点が存在します。

この直線をプラス方向でもマイナス方向でもいいんですが、60度傾けます。すると、その直線L'の傾きは無理数になり、直線L'上には、P以外に有理点は存在しません。

Pと、L上に正三角形の二頂点を取ったとき、残る頂点は60度傾いた直線L'上にあります。直線L'上には有理点はないので、平面上の正三角形の三頂点が同時に有理点になることは、ありません。

QED

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さてさて、だいぶ遠いところまでやってきました。今日は、傾きがθの直線を考えます。この直線を、60度傾けます。すると、傾きが[θ+(π/3)]になりますね。

タンジェントは傾きなので、はじめの直線の傾きをtanθとします。そして、そこから傾けた直線'の傾きはtan[θ+(π/3)]となります。

はじめのtanθを有理数とした場合、tan[θ+(π/3)]は、有理数でしょうか、無理数でしょうか?

d0164691_1545619.jpg


ということで、tan[θ+(π/3)]は無理数になりました。傾きが有理数の直線を60度傾けると、その傾きは無理数になるのです。この議論は、tan[θ-(π/3)]でも、符号は逆になりますが、結論は同じで、傾きは無理数になります。
今日は、格子点を考えます。つまりxy座標が整数になる点です。たとえば、原点と、格子点(a,b)を通る直線は

y=(b/a)x

です。bとaは整数なので、傾きが有理数の直線になります。原点を通る傾きが有理数の直線は、かならず格子点を通過することが分かります。

さて、傾きが無理数の場合、を考えましょう。無理数は分数で書けないので、通過する格子点を記述できません。原点を通る傾きが無理数の直線は、原点以外の格子点を通過しない。つまり、原点の他に有理点を持ちません。

これは、直線を平行移動しても、同じです。傾きが実数αで、座標(有理数c,有理数d)を通る直線は、y-d=α(x-c)となります。このαが無理数の場合、その傾きは(c.d)を基準に、有理数で表せません。つまり、(c.d)以外に、有理点を通過しないのですね。
昨日の記事の証明です。背理法を使って考えました。
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次は、傾きが無理数の直線上の有理点を考えます。
正三角形の3頂点が同時に有理点になるか? の続きです。前から例として挙げている正三角形の斜辺の方程式は、

y=-+√3x+√3
d0164691_18552320.png

です。この線上の有理点を考えます。グラフを見ると分かりますが、まず(1.0)と(-1.0)を通るので、ここが有理点です。でもそれ以外に、有理点はないのではないか?
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任意の有理数を、整数mnを使ってn/mと表記します。これをxに代入すると、xが有理数のときのyの値が求まります。

y=-+√3(n/m)+√3
d0164691_18571936.png

これでは、(n/m)=-+1の場合だけしか、yは有理数になりません。
前回の最後に、「底辺が2で、高さが√3の正三角形を拡大縮小しても、あるいは移動しても、三頂点は同時に有理点にならない」(大意)と書きました。けっこう雑な議論だったかな。

それはあとで考えることにして、今日は、回転を考えてみます。といっても、とても簡単。昨日の、(1.0)(-1.0)(0.√3)を頂点とする正三角形を思い出してください。これを、原点を中心に回転させます。

単位円周上には無数の有理点が存在します。でも、原点を中心とする、半径が√3の円周上には、ひとつも有理点がないのですね。

つまり、この回転運動で、3頂点が同時に有理点になることはありません。

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この問題は合っているでしょうか? 考えました。

まず、三角形の底辺を、x軸上に、上の頂点をy軸上に置きます。すると、底辺は原点で二等分されます。簡単にするために、左右に1ずつ広がっているものとしましょう。

すると、y軸上の頂点は、(0,√3)の位置にきます。底辺の頂点が有理点にある時に、上の頂点が有理点にこないことが、分かります。つまり、このまま、回転させずに移動させたり拡大縮小したりした場合、三点が同時に有理点にはなりません。

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ひとつの問題が提示された時に、それに関連する問いを考えるくせがあります。今回は、半径が1で、原点でx軸と交差する円の有理点を考えます。つまり単位円を、マイナス側に1だけ移動させた円です。

論法はいままでと同じです。x=-1の線上を動くtを利用して、円周上の点Qを定義します。

ということで、tが有理数のときに、Qは有理点になります。この円周上には、無限の有理点が存在する。

d0164691_13311931.jpg

この記事は検算をして、加筆してあります。具体的には、x^2+y^2=2 の円周上に、(1,1)という有理点が存在するのです。前半は原型のままですが、後半に加筆部分があります。

有理点とは、x、y座標ともに、有理数となる点のことです。「数学ガール」には、単位円に有理点が無限にあるか? という問題がありました。

今回は、これを、原点を中心とする√2の円で試してみます。
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tはy軸上を上下に移動します。Qはtに対応して、一意に決まります。そして、直線lの傾きはt/√2です。

l:y=t/√2x+t
円:x^2+y^2=2

この連立方程式を解けば、Qの座標が分かります。
d0164691_13264637.jpg

すると、こうなりました。tにゼロを代入すると、x座標が、無理数。有理数を代入すると、√2が残って無理数。√2を代入しても、あるいは他の無理数を代入しても同様。

結論として、この円周上に有理点は存在しない。

ちなみに、同じ論法で、原点を中心とする√3の円にも、有理点が一つも存在しないことが分かります。

前半ここまで

検算の結果

検算をするまでもなく、グラフを見れば一目瞭然。この円周上には有理点(1,1)(-1,1)(1,-1)(-1,-1)がありました。それで、これが、僕の論法で出てくるのかを、計算してみました。長いので、紙をスキャンしたものをそのまま載せますが、たしかに(1,1)が出てきます。

なにが「この円周上に有理点は存在しない。」だ。大ウソです。

xとyを表すtの式が有理数だけでできていたら、「tに有理数を入れたらx,yは有理数」と言えるでしょう。でも、無理数を含む文字式に無理数を代入したときに、結果が無理数に限定されるわけではないのですね。身をもって知りました。反省しています。

ネットで検索したところ、円周上の有理点の個数は、零個か1個か2個か無限個だそうです。ですから、原点中心の半径が√2の円周上には、最低4つの有理点が確認できるので、無限に多くの有理点があることになります。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1232613647

また、原点中心の半径が√3の円周上には、ただのひとつも有理点はない、は正しいようです。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1085881380

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