「ゲーデルの不完全性定理」の概要
ある体系αの内部に、数学的な言明の文章aがあるとします。このaに対して、ゲーデル数nを定義します。これは、の文章を暗号化して数字にしたもの、とでも考えましょう。
さて、「nが、体系α内部では証明可能ではない」と主張する、真偽不明の文Sを構成します。つまり、nが証明可能でないときに、そのときのみに、Sは真となります。
ところで、このnは、Sそのもののゲーデル数らしいのです。わかりにくいですね。
aを暗号化したものが、nです。
Sを暗号化しても、nとなるらしいのです。
さてSの主張と、Sの真偽、aの証明可能性をまとめましょう。
(1)
Sが真であるとき。「aとSは証明可能ではない」つまり「Sは真であるが、証明できない」
(2)
Sが偽であるとき。「aとSは証明可能」つまり「Sは偽であり、証明できる」
(2)の結論「Sは偽であり、証明できる」は「Sが偽であることを証明できる」ではありません。偽の命題を証明できる、と言っているのです。例を挙げれば、「1+1=3 を証明できる」とでもなります。無茶です。
つまり、「「Sは真であるが、証明できない」というSが存在する」というのが、ゲーデルの不完全性定理だと、ぼくは理解しました。これから、「スマリヤンのゲーデル・パズル」を進めてゆきます。