「ファウンデーションの誕生」
早川書房
つらく悲しい小説です。前作の「序曲」ではまだ若いセルダンが、トランター中を遍歴して、銀河の歴史にかかわる謎の断片を、解明してゆきました。
反転
この作品では中年から老年に至るセルダンの、挫折と希望が描かれます。トランターの荒廃は進み、帝国は没落してゆきます。そのなかでセルダンは、さまざまな勢力にかかわりながら研究を進めますが、次々に思いもかけない事件が起こり、失意の底に沈んでゆくのです。
僕はクレオン皇帝の暗殺事件が、悲しかった。
友人や家族がだんだんと姿を消し、孤独になってゆくセルダンの姿は、涙なくして読めません。ユーゴのくだりは本当に寂しい。