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「A3」

森達也
集英社インターナショナル

森達也のスタンスには、かなりの相対主義を感じる。まるで「相対主義絶対論」。

また、権力がオウム事件を利用しているようにも感じる。市民に対する人権侵害の既成事実化。亡くなった被害者とともに、オウムがこの国に残した大きな傷跡。

「敵か味方か」で割り切っていいのは非常時。平時は、社会には分かりやすい解答はない。簡単に敵認定をするのは、オウム信者が口にする「オウムではズバリと答えがもらえた」と同じ。

オウムの内部構造は、まるでコックリさん。教祖を含むトップ集団が、お互いに影響をおよぼしあい、特定の人物の意思が具現化するわけでもなく、とんでもない結末に至る。情報の共有や指揮系統が、さまざまな要因でうまく機能しない。

中川智正の分かりやすく、きれいなミステリ的解答を最後(エピローグに書かれている)に持って来るあたり、森達也も答えが欲しいのだな、と思う。中川の言葉は魅力的で、美しい解決だ。



これは読みながら書き付けたメモです。
by tomoarrow | 2011-09-20 07:27 | 書物について | Comments(0)