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「エイダ」

山田正紀
早川文庫

山田正紀は不当に持ち上げられている気がする。だが、この作品と「宝石泥棒」は面白い。

「エイダ」は並行世界が入り混じる神林長平風のストーリーだが、語り方がまったく異なる。全てを異化/相対化させつつ、その根底には確固たる何かを感じさせる神林作品。

対して「エイダ」は、底に何かを感じさせつつ、実は大したことないのかな、と思わせる。

そして尻切れとんぼ。広げたフロシキが畳めないのは山田正紀の常套手段だが、この作品もそうである。量子コンピュータとエイダ、物語と現実の狭間をうろうろするキャラクタたち。澁澤龍彦言うところの「幾何学精神のない小説」である。

はっきり言って、駄作だと思う。でもその壊れ方が面白い。堅牢な物語世界を作り上げた「宝石泥棒」とは対極にある作品だろう。
by tomoarrow | 2010-12-10 07:26 | 書物について | Comments(0)