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「見えない都市」

イタロ・カルヴィーノ
河出文庫

マルコ・ポーロものはいくつか紹介してきたが*、いよいよ本丸に到達した。古くからの幻想文学ファンには「マルコ・ポーロの見えない都市」のタイトルで親しまれている本である。この本の数秘学的な奇妙な仕掛けは、解説で詳しく述べられているのでここでは触れない。

マルコがハーンに語る異国の都市。語られるのはあくまでも都市であり、途中の旅は省略されている。時代がすっかりと無視されて、レーダー用のアンテナやピアノ、アルミニウムなどの単語が現れる。

ハーンの帝国が時空を超えて展開しているのか、マルコの幻視が超越しているのか。おそらくそのどちらでもありどちらでもないのだろう。

どこの言葉かも分からない名前の都市が次々と現れては消えてゆく。解説では、読者から訳者あての手紙としてフーガ形式に言及していたが、あるいはバッハのシャコンヌでもいいかもしれない。

この本を読んでいて連想するのが、山尾悠子の「夢の棲む街」とライトマンの「アインシュタインの夢」である。幻想は幻想を呼ぶ。

*マルコ・ポーロは幻想世界の住人である。当ブログに登場したのは以下の4冊。今後も増えるかもしれない。タグにした方が良いのかな?
「惑星P13の秘密」
「百万のマルコ」
「安徳天皇漂海記」
「廃帝奇譚」
by tomoarrow | 2010-11-02 08:02 | 書物について | Comments(0)