「バイオリンの見方、選び方」

神田侑晃
レッスンの友社

先日の「弦楽器のしくみとメンテナンス」とは違った視点で弦楽器を語ります。佐々木朗は技術者ですが、神田侑晃はディーラーです。この本のテーマは、いかにして楽器を適切な価格で買うか、と云うことにつきます。

基礎編と応用編の2冊が出ています。

僕にとってショックだったのは、「バイオリンの価値は、音では決まらない」と云うくだりですね。

「バイオリンには「格」があり、格が高い楽器はいい音を出す可能性が高く、ゆえに高価である」

要約するとこう云うことが書いてあるのです。(応用編ChapterIII 値段について)

弦楽器は、弓や演奏者が変わると音も変わります。また、音は目に見えません。そのようなファジイなものを基準に値付けは出来ないらしいのです。

たとえば、量産品の木曽鈴木バイオリンに、非常に音がいい楽器があったとします。その楽器が仮に1000万円の楽器と遜色のない音を出したとしても、やはり普及品の価値しかないらしいのですね。(応用編P91)

当たり前と言えば当たり前で、普及品を1000万で売ったら詐欺罪にとわれます。いい音なんだ、と主張しても、客観的な証明は困難でしょう。

楽器の価値は音だけではなく、作者や制作精度、来歴などに左右されます。ここで佐々木朗の意見と一致するのですが、「いい楽器は時間が経っても、大事に扱われるので価値が下がらない」のです。どんなにいい音が出ても、普及品の楽器は見れば分かります。するとどうしても、名のある制作者の楽器にくらべると扱われ方が異なってしまうのですね。

制作者と制作年代は絶対の基準です。客観的に決められます。判定さえ出来れば、弦楽器業界での相場に従い適切な価格が判明するのですね。実はバイオリンの価格は、メカニカルに決まる分かりやすいものなのかもしれません。
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by tomoarrow | 2010-10-11 07:49 | 書物について | Comments(0)