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「落盤」

手塚治虫
河出文庫「アセチレン・ランプの夜」収録


この本はランプが登場する話を集めたアンソロジーである。手塚キャラは俳優のように現れるので、こういう企画が出来るのだろう。

「アドルフに告ぐ」のランプとハムエッグは怖かった。この二人はそもそも悪役で、特にランプの造形にはぞっとすることが多い。またハムエッグにくらべて役の幅が広く、ほろりとする小善人をやらせても上手い。

本書でもブラックジャック「ゴーストタウンの流れ者」や七色インコの「俺たちは天使じゃない」が収録されていて、両方ともしみるいい話である。

今回の表題である「落盤」では小悪党を演じていて、濃密な心理描写が面白い。どこかで読めるのか分からないが、見つけたらぜひ読んでいただきたい好編である。
by tomoarrow | 2010-10-02 07:55 | 書物について | Comments(0)