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「過負荷都市」

神林長平
早川文庫

時空の全事象を制御するクォードラムは、現実をうまく創れない人間が増えたことで過負荷状態に陥ってしまったというのだ。

都市制御体と聞くと「プリズム」みたいなものを連想しますが、本書はジュブナイルです。神林が得意とする現実崩壊感覚を、おもしろおかしく書いていて好感が持てます。

アクションも風景描写も、他人ごとのような余裕のある会話も、妙に浮世離れしていてそこも面白い。

これがもうすこしシリアスになると「完璧な涙」になるのでしょうねー。あるいは「完璧な涙」の空白の300年が、「過負荷都市」なのかもしれません。

表面を読めばおちゃらけているし、奥を探ろうと思うとそれはそれで面白いし、読者をからめとる神林空間で遊ぶには、最適な本です。

神林作品になじみのない方でも楽しく読めるのではないかな。
by tomoarrow | 2010-09-29 07:56 | 書物について | Comments(0)