「偽書「東日流外三郡誌」事件」

斉藤光政著
新人物文庫

戦後最大の「偽書」は
いかにして生まれたのか。


たいした歴史の知識も無いくせに、偽史が好きだ。

「東日流外三郡誌」は、子供の頃に図書館のオカルトコーナーにあった解説書で名前を知ったけれども、内容はまったく知らなかった。多少とも知識が増えるのは、高橋克彦の「竜の柩」を読んでからである。

高橋克彦は、「東日流外三郡誌」を偽書だとしながらも、内容にはある程度の真実があると言っている。「伊達政宗の手紙を偽造した事件があったとする。それがバレた。で、手紙が偽造だから伊達政宗の実在をも認めない、と言ったら、それはおかしい」(大意)

そりゃあおかしい。でも、伊達政宗は偽手紙以外にも多くの資料があるのではないか? 「東日流外三郡誌」を補完する、信頼できる資料が他にあるのだろうか? 高橋克彦には循環論法とか、ウロボロスとか言いたくなる。

さてこの「偽書「東日流外三郡誌」事件」は本当に面白い本である。著者は92年の民事訴訟をきっかけに三郡誌の真贋論争足を踏み入れ、経緯を取材し新聞記事にしてきた。本書にはそれらの記事も多数再録されていて興味深い。

取材を進めると出てくる、発見者、和田喜八郎の盗作、経歴詐称、詐欺。これらは枚挙にいとまがない。年中無休のニセモノデパートである。

また、「東日流外三郡誌」はアメリカの国会図書館やコロンビア大学、イギリスのオックスフォード大学にも置かれている(P35)という記述がある。トンデモの資料として収蔵されているのか、歴史の異本と認知されているのか、気になるところである。


結論。「東日流外三郡誌」は和田喜八郎の作ったものである。
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by tomoarrow | 2010-08-29 07:47 | 書物について | Comments(0)