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「ゼウスガーデン衰亡史」

小林恭二
福武文庫

うらぶれた場末の遊園地、「下高井戸オリンピック遊戯場」は双子の転天才、藤島宙一・宙二兄弟の卓越した経営手腕により急成長を遂げ、「ゼウスガーデン」と名を変えて、ありとあらゆる欲望を吸収した巨大な快楽の王国となってゆく。


==内容に触れています==

タイトルからもローマの歴史を連想させます。となると、建国の立役者は双子ですよねー。冒頭から建国の祖、宙一・宙二の生い立ちを語り、そのままゼウスガーデンの歴史にスライドしてゆく手腕は見事。次々と繰り出されるガジェット、モチーフが読者に考える間を与えません。

サメと泳ぐプールや美学としての心中。各地に系列遊園地が作られ、幹部組織が「元老院」、社長が皇帝と呼称される。などなど、意味深なような思いつきだけのような猥雑感があります。双子の兄弟がわりあい早くから所在不明になるのもいいですね。

ゼウスガーデンは日本のなかにある治外法権区域です。ローマのような一大王国であり、独自の文化を誇ります。派閥抗争はテロルの応酬にまで発展します。

遊園地が国家規模の権力を握るなんて、昔読んだときにはとても考えられなかったのですが、いまではこういう事もあるかもな、と思います。

人と金が集まれば、それが権力の源になり得る、そういうことです。

by tomoarrow | 2010-07-30 07:16 | 書物について | Comments(0)