ダン・シモンズ
早川書房

ど真ん中のポスト・ホロコーストストーリーである。「ハイペリオン」で描かれた自由社会は壊滅し、保守キリスト教カルトであるパスクに支配された暗黒世界が舞台。ハイペリオン出身の自由主義者エンディミオンと、前作の巡礼の一人、レイチェルの娘アイネイアーの遍歴を楽しく綴っている。

彼らは旧ウェブを流れていたテュス河をイカダで下ってゆく。テュス河とは各惑星の河を転移ゲートで繋いだもので、船で下ってゆくだけで色々な星を巡れるのだ。このシリーズ中で、最も美しいモチーフだと思う。

シュライクも前作から続けて出現する。

しかしなにより、デ・ソヤ神父大佐こそ、この物語の真の主人公と言うべきかもしれない。エンデュミオンを追いかける彼は、じつにカッコいい。僕は大ファンなのである。

未読の方はぜひ、「ハイペリオン」からぶっ続けで読むといいと思うよ。
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僕は食事や睡眠を見られるのが恥ずかしくて嫌いです。

一緒に食事をするのならともかく、そうでない人に食事中の姿を見られたくない。店舗勤めなのですが、奥にいても、うっかりお客さんに食事姿を見られた時とか、非常にいやです。ですから、来客時には食事を中断して平静を装います。

また、何を食べているのか気にされるのも嫌です。僕が何を食べようとよそ様には関係ないだろう。

食事はとてもプライベートな行為だと思います。でもこれは個人差があるようで、上司などは、僕ほど気にしないみたいです。

睡眠も、プラーベートな領分に属します。僕は眠るのは好きで、夜も割合早く布団に入ります。寝付きもいい。でも学生時代から、同級生と深夜に集まってお酒を飲んでいる時とか、たいがい最後まで起きて飲んでいた気がします。お酒には弱くてすぐに酔っちゃうくせに。

人前で眠るのが嫌なんですね。
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「とりぱん」9巻を読んでいたら、すそが広めのズボンは楽ちん、てな描写があって違和感を持ちました。むしろすそは絞ってある方が歩きやすい。

僕はユニクロのスキニージーンズを愛用しています。ベルボトムと違ってすそが絡まないので、歩きやすいのです。ユニクロの濃い色の服は、染料の性質なのかすぐに赤焼けするけど、デニムは大丈夫そうです。


いつの間にか記事数が100を超えていました。この記事で129回目の投稿です。
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貴志祐介
講談社ノベルス

ポストアポカリプスもの。1000年後を舞台に、呪術と化け物に囲まれて暮らす全体主義的社会を描くのだから、どこかで破滅を経ていることは容易に想像ができる。

抑圧された青少年の成長譚であり、異形の世界を巡る冒険譚でもあり、暗黒の歴史を明かしてゆくミステリでもある。

反転

暗黒時代を記録しているのは、獣に擬態したアーカイブ端末。これは超ハイテクノロジーの集積体で、一体一体がそのまま図書館となっている。それの語る暗黒の歴史には胸がむかむかすること請け合いである。

でもそれは、世界の逆転を幻視する、SF読者にとっては至福の読書体験でもある。

エントロピーが収束したかと思うと拡散し、解かれつつある謎が再び隠され、カオスに飲み込まれていく。延々と続くカタストロフ描写は長いとも思ったが、読み終わってみると必要だったのかなとも思う。なかなか読み終わらないのが魅力の小説、と云うのも確実にあるわけだから。

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宇月原晴明
中公文庫

遠く異朝をとぶらえば
近く本朝をうかがうに

廃帝、と云う言葉にロマンを感じる。廃された帝。ちゃいされた帝王のことである。廃太子の言葉もある。皇太子がちゃいされた状態のことである。

ロマンなんて言っていられるのは僕が部外者だからであり、本人にとってははらわたが煮えくり返る思いであろう。実際、本書終章の後鳥羽院は日本の大魔王として有名である。恨みのかたまりだ。

再びこちら側に視線を移せば、だからこそ面白い題材と云うことになる。うらみも悪意も感情もない、安穏とした人物は、まったく魅力に欠ける。こう云う人間はサイコキラーにされるのが、小説の作法である(でまかせ。偏見)。

マルコ・ポーロの遺物を軸に、中国、日本の悲運の帝の物語。美しくも惨めに滅びてゆくあまたの王朝。これは先だって紹介した「安徳天皇漂海記」に連なる作品である。続けて読むと、面白さが倍増する。
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