「人間そっくり」
新潮文庫
といっても、ジャムでもレプリカントでもありません。安部公房が書いた小説です。新潮文庫刊。
SF作家のところに、火星人が訪ねて来るんです。見た目は人間。言葉も日本語。でも言うことが少しずれている。
ずれているなりに理にかなったことを言うんですよ。むしろ、常識人であるはずのSF作家の方が、その場しのぎの適当なことを言って墓穴を掘る。
SF作家の立場に立つと、何とも気の毒になりますが、火星人から見るとどんどん壊れてゆく作家さんが実に楽しい。
薄い本なので、一気に読めます。もう、何が本当なのかさっぱり分からない。