「陽気なギャングが地球を回す」
祥伝社文庫
奇妙な特技を持った4人組がギャング稼業に精を出します。
脇役で出てくる、発明狂の田中とか、響野の奥さん祥子さんはいいなあ。
全編に気の利きすぎた会話があふれていて、ちょっとうるさくも感じますが慣れてくると心地いい。響野の嘘八百口先八丁が本当に面白い。
各章の冒頭の、辞書風のへんてこな警句(?)もしゃれている。
ギャングして奪った金を、横取りされちゃうんですよ。そいつらにやり返すんですが、じつに痛快至極。映画的手法で描かれたピカレスクコメディ。
映画では割愛されていたキャラクタも登場するし、ストーリーはもっと入り組んでいます。ふたつを比べると、伊坂幸太郎の小説の上手さと、前田哲監督の構成の上手さを感じます。それぞれいいんだな。
はじめから終わりまで、伏線だらけです。意外なことまでもちろん伏線なので、お見逃しなきよう。