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「アイヴォリー ある象牙の物語」

マイク・レズニック著
早川文庫SF

時は悠久の未来。
遥か昔に歴史から姿を消した一組の象牙の探索行。象牙の軌跡を探る調査局員。とはいっても、宇宙をまたにかけた一大冒険ストーリーではない。この小説の本編はコンピュータが報告する、象牙にまつわる物語である。つまりはフレームストーリーだ。

舞台は歴史の闇の中である。コンピュータであらゆる情報を検索し、象牙の記録を探ってゆく。全宇宙の博物館の収蔵品目録やオークション記録、保険会社の扱い品目。船舶の輸送記録など。

長い歴史の中で、象牙がたどった神話的とも言える運命が、そこに現れる。

調査局員はコンピュータを操作することであらゆる情報を手に入れる。まるでクルミの中の世界である。卓上のマシンは世界そのものなのだ。

めくるめく幻想がそこにある。おすすめ。
by tomoarrow | 2010-05-30 07:24 | 書物について | Comments(0)