「職業欄はエスパー」
エスパーの日常を取材した、奇妙な本。登場するエスパーは、スプーン曲げの清田益明、UFOを呼ぶ秋山眞人、ダウジングの堤裕司。
本としては清田益明がメインなのだろうけれども、僕が興味を持ったのはダウジングの人。この人は一貫して「ダウジングは技術だ」と言い続ける。
森達也自身は、超能力の真偽を追求するところにはさして興味がなく、エスパーたちが何を考えているのか、どういう日常を送っているのか、そういうある種ストイックな視点で取材を進めている。
これが僕を、とても不安にさせる。たとえば、取材中に起こる奇妙な出来事。エスパーの実演、霊視、あるいは彼らの語りだす体験談。これらにたいして、森達也は懐疑を口にする。でも、完全に解明するわけではない。合理的な可能性を口にするけれども、決着がつくわけではない。
つまり、超能力を肯定するわけでもないけれども、疑いの目だけで見るでもなく、否定するでもない。
これは幻想小説としても一級品だと思う(これは最高の褒め言葉である)。